11月3日(水・祝)より陶芸家 植田佳奈さんのフェアを初開催いたします。
誰も見たことのない、土での質感表現を目指す植田佳奈さんの作品。
石ころが長い時間をかけて水の中を転がり、形がすこしずつ削られていくさまや、動物の毛並みの流れ、蚕の繭の肌理(きめ)など、自然物が出来ていく過程や質感や模様がどのように構成されているかを観察して作品に落とし込み制作されています。
釉薬を使う表現は殆どなく、野焼きや漆を施したり単純な装飾技法を扱い、土そのものが持つ可能性を探っています。
彼女の代表作である象嵌の作品は、象嵌(ぞうがん)という伝統的な手法を陶に用い、彫られた文様が施されています。
気が遠くなるような工程を経て、彫りあがった作品は、つい虫眼鏡で細部まで見たくなるような繊細で精巧な模様の美しさが際立っています。
今回のフェアでは象嵌シリーズのオブジェ、石ころオブジェシリーズ、一輪挿しなどを展開予定。
また、今回は初めてアクセサリーを制作してくださいます。
今まで用途のあるものを創らなかった彼女が装飾品に挑戦します。
・象嵌一輪挿し
白くてきめ細かい半磁土を使用し、粘土が柔らかいうちに道具で線や点を刻み込み、規則的な並びの点や線で全体を覆っています。
線や点の太さ、大きさ、並び、道具を変えることによって様々な質感がつくられています。
凹みの部分に呉須(ゴス 器の絵付けの材料と同じもの)を入れることにより、線や点と白い土の色にコントラストが生まれています。
・多孔質作品
メラミンスポンジに泥状にした粘土を染み込ませて焼成するとスポンジは全て焼き飛び、スポンジにまとわり付いた粘土だけが残ります。スポンジの質感そのままに軽く、細やかな気泡があり、手捻りやロクロでは作れない形や質感になっています。
・練り込み素焼き石ころ
違う種類の土を混ぜて低温で焼くことにより低い温度ならではのやわらかい雰囲気の質感に仕上がっています。吸水性があるため水でぬらすと表情がかわり、乾くと元に戻ります。汚れた場合は紙やすりで削り、洗うと綺麗になる石ころの作品は、石を磨くような作業が楽しめます。
・陶片練り込み作品
石ころや一輪挿しは、制作時にヒビが入ってしまったものなど捨てられるはずの作品を細かく砕き、その陶片を土に混ぜてつくったもの。土と陶片の焼成時の収縮による歪みで意図的に入ったヒビが印象的な作品です。器では表現できない力強い質感です。
彼女の作品をさわったり近くで見ると、普段見えているけど見落としている奇跡はたくさんあるのだなと気づきます。
てのひらにある小さな作品から、大きくて新しい景色を眺めにいらしてください。
植田佳奈さんより
「用途の揺れ動くものを作っています。石ころのような存在(佇まいや成り立ち)を目指しています。表面に微細な点や線を刻み入れて質感を作った一輪挿しや、細かく砕いた陶片を土に混ぜて焼き上げるなど 質感にこだわった陶芸の新しい表現を試みていますので、ぜひお手に取ってご覧いただきたいと思います。」
【作家プロフィール】
陶芸家 植田佳奈
神奈川県生まれ
武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科陶磁専攻 卒業後
2018年 神奈川県相模原市にて独立、築窯
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さわれる景色
植田佳奈
2021年11月3日(水・祝)-11月30日(火)
16日(火)定休日
11:00 - 17:00 最終日16時まで
Instagram @uedakana_