「憩いのじかん」
小沼寛/加藤文子
2026年5月30日(土)~6月11日(木)
11:00-17:00
※最終日16:00まで
6/2日&9日(火)お休み
陶芸家・小沼寛さんと盆栽家・加藤文子さんのokebaでの展示が、2018年の展示以来、8年ぶりに開催となります。
お2人は、栃木県の那須にご自宅兼アトリエを持ち、ご制作や植物のお世話、時折ご自宅裏手にある「ギャラリーRの家」での展示などの活動をされています。
小沼さんの陶芸家としてのアトリエの名前は「 アトリエ あうりんこ 」。
- あうりんこ - はフィンランド語で太陽を意味する言葉です。
そして、加藤さんの盆栽家としての活動が「奏デル盆栽」というお名前です。
コナラの木立や 牧草地に囲まれた 静かなご自宅兼アトリエを、お2人は “あうりんこ星” と呼んでいます。
お2人のアトリエとご自宅は、自然との共存をテーマにした美しい空間で、訪れる人々に深い感動を与えます。
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幻想的で優しい色あいを出す小沼さんの作品は、北欧で陶芸をされていたご経験もあり、オーロラのような、淡く透き通る深い湖のような…豊かな自然から感じるエネルギーのような静かな神秘さと力強さを感じます。
自然の美しさを表現し、手びねりによる独特の技法で一つ一つ丁寧に作られている彼の作品は、薄くて軽やかで、まるで天使か妖精たちが飛び交うような幻覚をもたらします。丹念に表面が滑らかになるまで削られ、釉かけや釉薬を調合し、焼成を繰り返すことで、その美しさが引き出されます。小さな作品から大きな作品、オブジェ、うつわ、花器、小物まで、繊細でも力強い作品が揃っています。
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そして、小沼さんの奥様でもある盆栽家の加藤文子さん。埼玉県大宮市(現さいたま市)の盆栽町で四代続く盆栽家の娘として生まれ、幼いころから植物に囲まれて育ちました。
盆栽は針金を枝にかけて、盆栽として価値のある型の規範に近づけていきますが、加藤さんには、決められた型がちっとも美しいと思えなかったといいます。
そもそも金属を生きているものに巻き付けることが、どうも馴染めず、「私はここにいてはいけない」と思い、家を出られました。
そんな経緯もあり、従来の盆栽の持つイメージとは違う、繊細で、けれども味わい豊かな作品を奏でる加藤さん。植物たちは自分で己の居心地のいい場所におさまり、今のカタチを奏でています。加藤さんの盆栽に対峙すると、何だか意思を持っているような、会話ができるような気持になります。
小沼さんの器と加藤さんの植物のコラボレーションも、お二人の協奏曲のようで、一つにまとまった表現をを創り出しており、言葉には表すことのできない世界観と美しさを纏っています。
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作品をご覧いただくと、お2人が作品を生み出す際に多くのインスピレーションを受けている存在の根幹に“植物”があることは間違いないと解ります。
作品も、ご自宅兼アトリエも、お話しされることも、全ては植物やその向こうに在る世界・・目で見ることはできなくても、それが在ることをを感じさせてくださいます。
物質的な物事にどうしても捉われてしまう昨今、感性の豊かなお2人は、この勢いをどんどん増す流れに捕らわれることなく、結局大切なのは「目に見えていないもの」ではないかと考えさせてくれる気がしています。
植物だけでなく、水も動物も、石も全てに生命があると、小沼さんは仰っています。
ーそして、そのすべてが調和して行くこと=平和ー
加藤さんは、ご自身が育てる盆栽は、恩人だと語ります。
思いを惜しみなく注いで育てたのが、加藤さんの盆栽たち。その思いを受けて植物というフィルターを通して現れたのが加藤さんの作品です。
植物にエゴはなく、全てを許してくれる‥植物は地球で一番の平和的存在なのです。
きっと、植物を始め様々な生命が、それを教えようとしてくれていて、言葉を使ったり行動ができる私たちは、それに気づいて受け取り、何か残して行かないといけないのではないか‥そんなことがお2人の作品から伝わってくる気がするのです。
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今回の展示では、小沼さんに実用的な食器にもお使いいただけるような作品もリクエストさせていただき(作品の数量は未定です)、加藤さんには手間暇をかけて我が子のような盆栽作品を多数お持ちいただきます。
どんな作品がokebaの入り口にお目見えするのか、どんな場が広がるのか、楽しみでなりません。
ぜひ、ご覧ください。
小沼寛さんプロフィール_________
1970年 19才。ヨーロッパに渡る。
フィンランドの土を踏む。その 後ロンドンへ移り しばらく生活する。
1978年 陶芸をはじめる。
1983年 フィンランドのフィスカルスにて作陶。
迷いのあった陶芸に自由を見つける。
自然の中でも存在していられるようなモノをつくれればいいなと思うようになる。
1984年 自らの工房を《アトリエ あうりんこ》とする。
手びねりを始め、鼻シリーズが生まれる。
植物のようなカタチも出現してくる。
1989年 加藤文子と出会う。自分がなぜ存在しているのか、なぜ焼物を仕事に選んでいるののか、いろんな本当のことを知りたくなる。
1996年 那須に移住。たまごがうまれる。貝がうまれる。花や虫が生まれ、手びねりの器も溢れてくる。
個展、ジョイント展多数。
加藤文子さんプロフィール_________
1955年 大宮市盆栽町に生まれ、四代に渡る盆栽一家に育つ。10代後半に、知り合ったドイツの友人とリュックひとつで
ヨーロッパを巡る。お金が底をつくまでのその旅は、後の生き方の原点となる。帰国後、自分に出来ることは何かと
考え、盆栽を学ぶことを決め、 父 ・ 加藤秀男に10年師事。
1985年 大の音楽好きから、《奏デル盆栽》と命名し、独立。
1990年 陶芸家の小沼 寛と結婚。以降、夫婦でのジョイント展や個展、ジャンルを超えた企画展に参加を重ねる。
1996年 那須に移り、植物との平和な生活を探っている。
近年、ウッドストックジェネレーションの現在、そして今後の動向を注目している。
主な著書
「盆栽ガーデニングⅠ・Ⅱ」 メディアファクトリー
「草と木の小さな鉢」 文化出版局
「加藤文子の奏デル盆栽ノート」 リヨン社
「加藤文子の時を奏デル盆栽」 NHK出版
「natural 盆栽 小さなみどりの育て方」 講談社
現在連載中 オンライン文芸誌 「展景」 – 那須通信 –



